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OpenAI、米エネルギー省にAIインフラ整備を提案:連邦土地の活用と教育支援を要請

OpenAIは2025年5月、米国エネルギー省(DOE)が実施した「AIインフラに関する意見募集(RFI)」に対し、連邦政府が主導するAIインフラ整備についての提言を提出しました。本提言では、AIを電力やインターネットと同様の基盤インフラと位置づけ、その整備において国家の関与が極めて重要であると強調しています。

OpenAIは、AIの経済的・社会的利益を特定の都市部や一部の企業だけでなく、全米に均等に届けることが重要であると指摘しています。1930年代の農村電化政策に倣い、政府が主導してAIインフラの普及を図る必要性を訴えています。

提言の主な内容は以下のとおりです:

  • 連邦政府所有地の活用
     DOEが保有する広大な土地を活用し、AIスーパーコンピューティング施設などの整備を提案しています。初期事例としては、テキサス州アビリーンで進行中の「Stargateキャンパス」(Microsoftとの協業)が挙げられています。
  • 電力および冷却インフラの支援
     生成AIの発展に伴い、電力と冷却の需要が急増しています。これに対応するため、再生可能エネルギーや原子力を活用したAI専用インフラの構築を急務としています。
  • AIアクセスの民主化
     農村部や低所得地域における教育格差を是正するため、AIリテラシー教育の提供やツールへのアクセス拡充といった公的支援の必要性を提唱しています。
  • 公共機関向けのクラウドアクセス拡充
     大学、非営利団体、政府機関などが商用大規模言語モデル(LLM)へ安価かつ安定的にアクセスできるよう、クラウド基盤の整備を求めています。

これらの提言は、AIの恩恵を社会全体に広げるとともに、エネルギーと計算資源という両面からの課題に、国家レベルで戦略的に対応すべきだという立場に基づいています。

また、OpenAIは今後、米国以外の国々とも連携し、同様のインフラ支援を国際的に推進していく方針を示しています。

OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、「AIが今後10年で米国経済とインフラに与える影響は極めて大きい」と述べ、政治的リーダーシップと公共による関与の必要性を訴えています。MicrosoftやNVIDIAなどの業界大手も、AIと電力の接続性に関する課題を指摘しており、官民連携が今後の鍵になると見られています。

日本においても、電力供給や計算資源の制約により、大規模モデルの自前運用が難しいという課題を抱えています。今回のOpenAIの提言は、今後のAI基盤整備における貴重な参考事例となる可能性があります。

【記事出典】

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